リードエンジニアブログ 『PIM選定編』
第2話 PIM(商品情報管理)製品が提供する機能
前回はPIM(Product Information Management)の背景や他のソリューションとの違いを中心にPIMについてご紹介しました。今回はPIMの主要機能や構成要素をご紹介しながらPIM製品の選定についてお話しいたします。
PIMの一般的な機能
PIMを構成する主な機能・要素は以下の通りです。
No. |
主要機能・構成要素 |
概要 |
---|---|---|
1 |
データモデル |
商品の情報・カテゴリを定義 |
2 |
外部インターフェース |
外部システムやデータとの入出力 |
3 |
データチェック |
データ整合性を担保するための機能 |
4 |
承認ワークフロー |
公開前の承認業務 |
5 |
データ管理GUI |
管理者向けのデータ管理画面 |
6 |
グローバル対応 |
商品情報の多言語化、多通貨 |
PIM製品を選定する上でのポイントに焦点をあて、これらの主要機能・構成要素に関し、それぞれご説明いたします。
データモデル
各PIM製品によって多少の違いはありますが、PIMで定義したデータモデルで管理できるデータは、主に「商品情報」「カテゴリ」および商品に関連する画像やドキュメントなどの「デジタルメディア」になります。各PIM製品共通して言えることとして、「商品情報」に含まれる各商品固有の仕様情報などは、階層的に属性を付与して管理できる仕組みを持っています。例えば、「電化製品」には「電源仕様」があり、「電化製品」の下位層にあたる「テレビ」には「画素数」や「チューナーの有無」があるというように、商品情報を階層的に定義できます。
また商品情報と他の情報の間の関係性をどのように定義できるかということも、PIM製品としての大きな特徴になります。
データモデルをどのようにして定義するのが最適、効率的であるか?というようなお話しについては、データモデルの詳細記事として別の機会で色々とご紹介していきたいと思います。
いずれにしても、お客様の商品情報をデータモデルでどのように定義し、適用できるかということが、お客様とPIM製品との相性になり、PIM製品の大きな選定要素となると考えます。
外部インターフェース
汎用的な入出力項目やデータモデルで定義した項目に対応した外部インターフェース機能をPIMは持っています。対応するデータフォーマットや、連携方式(同期/非同期、プッシュ/プル等)、出力先システムへのプリセットなどはPIM製品によって異なります。共通的に言えることとして、簡易的なETL機能は持っていても一般的なEAIツールのような高度なデータ加工機能は持っていないということです。そのため、ある程度データを準備した状態で入力することや、出力を踏まえたデータモデルにするなどの考慮が必要となります。
最近ではREST APIなどのWeb APIが標準で提供されていて、他のWebサービスとの親和性も高くなっています。
データチェック
データの整合性を担保するためのチェック機能を持っています。単独の属性値だけではなく、データ間の関連などのチェックもできます。例えば、商品は1つ以上のカテゴリに属してなければならないなどのチェックができます。
PIM製品によってはデータ品質をチェックするルール定義ができますので、データ作成時に編集状況が簡単に確認できます。
承認ワークフロー
データの公開前に承認業務が必要なケースに備え、承認ワークフロー機能を持っているPIM製品が多いです。ただし、PIMが持つワークフロー機能は限定的であることが多いため、複雑なワークフローが必要なケースでは、ワークフロー機能の作り込みや外部のワークフローとの連携を必要があります。
データ管理GUI
PIM製品にはデータを管理・編集するためのGUIが提供されています。PIM製品を検討する際は、このデータ管理・編集GUIが自社の業務に則しているかという観点も重要となります。製品によってはGUI部分をカスタマイズすることができない、あるいは難易度が高いケースもあります。
また、このGUIを使う人が誰か?どれだけいるか?という点も検討の観点になります。商品データの管理業務をしている人だけが使うのか?サプライヤの担当者にまで使う人を拡げるか?によって、データ管理GUIの機能性、操作性に要求するレベルは変わってきます。PIMは「商品情報のハブ」という位置づけになることが多いため、運用が始まると意外とGUIでデータ管理・編集する局面が少なかった、ということもあります。
グローバル対応
PIM製品ごとに標準で提供している言語や通貨などは若干異なります。言語には、データ管理GUI等ユーザーインターフェースで使用できる「言語」と、商品情報として管理できる「言語」があるため、その点は意識しておいたほうが良いです。
商品情報として管理できる「言語」は、設定等で拡張可能なケースが多いですが、ユーザーインターフェースで使用できる「言語」はカスタマイズが必要になる可能性もあります。また、通貨・長さ・重さなどの各単位への対応や、翻訳支援/単位変換などの機能が、PIM製品ごとに違っています。
以上、PIMの主要機能・構成要素を製品選定観点でご紹介しました。次回はここまでの話を踏まえて、PIM製品の選び方についてご紹介します。