製造業が進めるデジタルマーケティング戦略とは?

2020.03.31  株式会社エクサ

デジタルマーケティングは今やビジネスの中心的存在となってきましたが、製造業でも同様の戦略を推し進めることは可能なのでしょうか製造業は他の業界に比べてデジタルマーケティングの適用が難しいという特徴があります。特にBtoB向けの製造業だと高い施策効果が期待できない可能性すらあるでしょう。しかしデジタルマーケティングが多くのビジネスに恩恵をもたらしていることは確かです。本記事では、製造業におけるデジタルマーケティング推進の課題とその対策についてご紹介します。

デジタルマーケティングの定義から理解する

最初に、理解しているようで意外としていないことの多いデジタルマーケティングの定義を整理します。Webマーケケティングと同義と考えている方も多いでしょうが、デジタルマーケティングはオンライン上のあらゆるデータを活用したマーケティング戦略であり、Webに限定した手法ではありません。

  • メールマガジンの配信

  • SNSを活用した情報収集

  • モバイル端末アプリを活用

  • オンライン上での行動履歴を収集

  • 顧客データを蓄積・分析

  • 実店舗とECの販売データを統合

  • 企業ブログを運営して情報発信

  • リスティング広告などの出稿

  • ECサイトの運営

これらはすべてデジタルマーケティングですし、複数の施策を組み合わせて戦略的に取り組むことに大きな意義があります。もちろん、企業ブログを運営するなど単体施策も効果がありますが、定義としてはオンライン上で包括的な戦略に取り組むのがデジタルマーケティングです。

製造業のデジタルマーケティングはなぜ難しいのか?

多くの製造業がデジタルマーケティングに挑戦してきた過去から、製造業の取り組みを阻む壁が3つあることが分かっています。1つ目は「製品に関する検索回数の少なさ」、2つ目は「社内理解が進まない」こと、そして3つ目は「Webサイト運用体制の乏しさ」です。

製品に関する検索回数が少ない

前提として、BtoB製造業の多くはコンシューマー向け製品とは違うニッチな製品を扱っていることを考えると、オンライン上における検索回数が極端に少ない傾向にあるといえます。

Google広告のキーワードプランナーなどを使って検索数をチェックしてみましょう。ニッチな製品ということを考慮すると、検索数は少なくとも100以上は欲しいところで、理想は300以上です。

しかし実際に調査していただくと分か通り、多くの製造業では検索数100を下回っているかと思います。デジタルマーケティングの起点はやはり「オンライン上におけるユーザの検索」です。従って検索母数が少ないと、その分マーケティング効果が薄れてしまいます。

社内理解が進まない

次に製造業のデジタルマーケティングを阻む壁は、1つ目の理由から来る社内理解の不足です。本記事では製造業のデジタルマーケティングが進んでいないことを指摘していますが、これは製造業が積極的ではないという意味ではなく、過去の挑戦で失敗したり思うような成果が得らえなかったりしたために社内理解が進まない傾向にあるという意味です

デジタルマーケティングは例えば3ヵ月以上という時間をかけてひとつの成果を上げていく戦略ですし、場合によっては十分な成果が得らえるようになるまで1年以上かかるケースもあります。そこには根気と、そこにかかる投資(人・時間)を維持することが何よりも大切なのですが、過去の失敗や他社事例、そもそも製品市場がニッチということもあり社内理解が進まないという大きな壁があるのです。

Webサイト運用体制が乏しい

デジタルマーケティンに対する期待値が低ければ、当然ながらそこに避けるリソースも少なくなります。多くの製造業では総務部や情報システム部がWebサイト(ホームページ的な役割)運営を兼任しているのではないでしょうか。このような場合、マーケティングとしての役割はありませんし、更新頻度も高くないのでそこから新規顧客を獲得するなど考えられない話です。

デジタルマーケティングを推進するためには、やはり兼任ではなくマーケティング専門部門を設置する必要があります。Webサイト運用体制が乏しいと、それだけ施策効果をあげづらくなるのです。

製造業でデジタルマーケティングへ取り組むための対策とは?

前述のように、製造業のデジタルマーケティング推進を阻む壁は想像以上に大きく、簡単に乗り越えられるわけではありません。しかし乗り越えさえすれば、多くの業界が恩恵を受けているようにデジタルマーケティングによる新規顧客創出なども夢ではないのです。では、その対策とは何でしょうか?

集客よりもCVR改善に取り組む

ニッチな製品を扱うBtoB製造業では、オンライン上での集客がそもそも難しいのが特徴です。しかし、まったく検索されないわけではありませんし、Webサイトへの訪問者も一定以上は確保されているケースが多いです。そこで視点を変えて、集客を目指すのではなく「CVR(Conversion Rate:コンバージョン率)を改善する」ことに取り組みます。

CVRとはこちらが目標とする行動を訪問者が取ることを意味し、具体的には問い合わせ」申し込みを獲得する、などの行動をとってもらった率(指標)をさします。特に検索回数が少ない場合にCVR改善策は有効で、仮に月間訪問者数500人のWebサイトで1%のCVRを達成すれば、見込み客創出は月間5件になります。年間にすれば60件なので、意外と悪い数字ではないはずです。60件もの見込み客を創出するための多大な努力が必要なことは、皆さんが理解しているところでしょう。

CVR改善は、少ない検索を拾うためにSEO対策を実施してWebページの検索結果上位表示を狙ったり、リスティング広告などユーザに応じた広告出稿を行ったりするよりもはるかに高い施策効果が狙えます。

CVR改善の余地はあるかを分析する

次に実際に、CVR改善の施策効果が高いかどうかを分析します。一定の訪問者数を確保しているとはいえ、ユーザの顔が見えているわけではありません。どういった訪問者がいるのかをより具体的に知るためにGoogleアナリティクスを活用して分析を実施します。

主に「訪問企業分析」と「企業別閲覧ページ分析」という2つの指標を確認しましょう。自社の見込み客となり得るような企業が本当に訪問しているのかその企業のニーズを満たしているWebページは何かを確認します。これを材料にCVR改善の効果が高いかどうかを判断しましょう。

分析結果から改善プランを立てる

分析の結果、「当社の見込み客となり得る企業からの訪問が一定数ある」「各企業がどのようなWebページを求めているか?」を確認できたらCVR改善に移行します。特に力を入れるべきポイントは、訪問企業が求めているコンテンツを準備することです。限られた予算を上手く活用しながらWebページの一部を改訂し、訪問企業が求めているコンテンツを整備します。さらに、コンテンツからCVRに繋がるような設計を取りましょう。

改善後のレビューを定期的に行う

CVR改善後は、結果がどうなったかを定期的にレビューしてください。結果が芳しくなければ、再度小さく改善してみてレビューを行います。ただし、もともと一定の訪問者数があるWebサイトならば、これで数件のコンバージョンは確保できるはずです。

まとめ

いかがでしょうか製造業のデジタルマーケティングは難しい部分も多いですが、取り組む価値は確かにあります。

現段階では、他の業界と比較すると製造業ではデジタルマーケティングを本格的に取り組んでいる企業の割合が低いかもしれません。しかしながら、すでにデジタルネイティブ世代の社会人比率も高まり、今や中堅クラスにまで浸透してきています。

当然彼らの購買行動は旧来の手法は通用せず、ネットやアプリ、ソーシャルなどを活用したデジタルマーケティングが主流となります。今から着手しても決して早すぎるわけではありません。

エクサでは、数々のBtoB企業様のデジタルトランスフォーメーションをご支援してきました。今後デジタルマーケティング施策を検討されている製造業の皆様は、どこから手をつけて良いかわからない点も多いかと思います。

当社では専門のエキスパートによるサービス構想の策定から製品選定、製品評価(PoC)、導入まで、全体のプロセスをご支援しています。是非お気軽にご相談ください。


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