データ管理をエクセルでする方法・ポイント・デメリットを解説

2024.11.06  株式会社エクサ

DXが進む昨今では、商品や顧客企業、売り上げなどの情報をデータ管理する重要性が高まっています。データ管理専用のシステムがあると理解していても、エクセルを使えば手軽ではないかと考える方も少なくありません。そこで本記事では、データ管理をエクセルで行うメリットやデメリット、押さえておきたいポイントを解説します。

データ管理をエクセルで行うメリット

データ管理は、企業や部署、個人が持つデータを収集し、いつでも使える状態に維持・管理する一連の業務を指します。複数の部署が所有しているデータを一元管理することで、検索や共有をスムーズに行うことが可能です。必要な情報に素早くアクセスできるため、業務効率化にも繋がります。

データ管理にMicrosoft Excel(以下、エクセル)を使うメリットとして、まず手軽さが挙げられます。導入コストは数万円程度で済むため、低予算でデータ管理を始めることが可能です。他業務のためにエクセルを導入している企業であれば、データ管理もすぐに始められます。

また、エクセルは操作に慣れている人が多いため、特別な教育や研修などを行わなくても使いこなしやすいのがメリットです。データ管理にエクセルを使う場合、特別な操作はほとんど必要ありません。列の追加やシートの加工なども感覚的に行うことができ、マクロによる自動処理も難しい操作をせずに行えます。

データ管理をエクセルでする方法

エクセルを使ってデータ管理を行う基本的な方法を解説します。データ管理に必要な項目の決定から表の作成、データベース化まで、ステップごとに詳しく説明していきます。

項目を決定する

エクセルでデータベースを作成する際は、データの形式を統一しなければなりません。そのために、まずは項目名を決定します。
エクセルの表を活用してデータベースを作成する際は、「列タイトル」が項目名となります。項目名を適切に設定すれば、データベースの使いやすさを高めることが可能です。

例えば、販売する商品を管理するためのデータベースを作成する場合の項目名を考えます。商品管理において適切と思われる項目名は、「商品名」「商品コード」「仕入れメーカー」「仕入れ価格」「販売価格」「粗利率」「商品ジャンル」などです。
取り扱う商品数や商品の種類によって、適切な項目名は変わります。より細かいジャンル分けが必要であれば、どのような項目名を設定すると検索しやすくなるかを考えることが大切です。

表を作成しデータを入力する

項目名を決めてから、データベースの元となる表を作成します。あらかじめ決めておいた項目名は列タイトルとして、表の1番上の行になるように入力してください。データベースに名称が必要な場合は、必ず項目名の上に1行以上の空白を入れて入力します。表の上に空白行を入れなければ、データベース作成時に領域設定が正しく機能しない場合があるからです。

表を作るときは、項目ごとに適した書式を設定する必要があります。「文字列」「数値」「日付形式」「通貨」など、各項目に合う書式を選んでください。

数字を入力する項目であっても、計算する必要がなければ書式は「数値」にする必要がありません。例えば商品コードは数字で表されますが、計算によって出す数字ではなくただ商品識別のために割り振られた文字列なので、「数値」ではなく「文字列」に設定します。一方、「粗利率」のように計算が必要な項目があれば、「数値」に設定するのがおすすめです。

「仕入れメーカー」や「商品ジャンル」など、入力する選択肢がいくつか決まっているものは、ドロップダウンリスト(プルダウン)を設定するのがおすすめです。データを都度入力するのではなく、リストから選ぶ形式にすれば、入力ミスを防ぎながら作業を効率化できます。

項目ごとに適切な書式を設定したら、データを入力してください。

データベース化をする

データを入力し終えたら、表をデータベース化します。表の中にある任意のセルを選択し、メニューの「挿入」から「テーブル」を選んでください。このとき、「先頭行をテーブルの見出しとして使用する」にチェックを入れると、最初に設定した列タイトルが項目名として機能します。「OK」を押せば、データベースの作成は完了です。

場合によっては、データベース範囲が正しく認識されないこともあります。そのようなときは、表内のセルを選択するのではなく、データベース化したい範囲全てを選択してから作業を行ってください。表は書式設定によって好みのスタイルに変えられるため、見やすいと思うものを選択します。

エクセル表のデータベース化が完了すれば、フィルター機能やデータ検索機能などを使えるようになるため、手軽にデータ管理ができます。

エクセルでデータ管理するときのポイント

エクセルでデータ管理をする際は、いくつかのポイントを押さえなければ正しく機能しない可能性があります。以下のポイントを意識しながら、データ入力や分類を行ってください。

1つのデータは1行に入力する

エクセルでデータ管理をする際、入力するデータは1行に1つとなるようにしてください。

エクセルでは、項目が水平方向、データが垂直方向に並ぶように入力します。1つのデータを1行に収めず、複数行にわたるように入力した場合、正しく集計できない可能性が高いです。正確なデータ管理ができなくなるおそれがあるので、「1データ1行」の原則は守ってください。

入力方法を統一すること

エクセル表をデータベースとして使うためには、入力方法を統一することが大切です。項目や数値の表記を統一していない場合、集計結果が正しく表示されなくなったり、検索結果に抜け漏れが発生したりするおそれがあります。

例えば、仕入れメーカーが同じ商品が複数ある場合、「同上」や「〃」として、メーカー名の入力を省略するケースがよく見られます。しかし、メーカー名を正しく入力しなければ、データ上で同じメーカーから仕入れた商品だと認識されません。 また、漢字やひらがなの表記ゆれや、アラビア数字と漢数字の混在、複数単位の使用などは、発生しやすい入力ミスです。あらかじめルールを設定し、そのルールに沿ってデータを入力することが、適切なデータ管理に繋がります。

セルの結合はしない

エクセルの機能としてよく使われるセル結合ですが、データベースとしてエクセル表を利用する場合は、使用してはいけません。
エクセルをデータベース化するうえで重要なのは、1つのセルに1つのデータを入力することです。セルを結合するとエラーが発生し、正確なデータ管理ができなくなります。正しくデータを集計するためにも、セルの結合は使わないというルールを徹底してください。

分類は色ではなく項目で行う

データをセルの色で分類すると見やすくはなりますが、エクセル表をデータベースとして活用する場合、色付けによる分類は避けるべきです。

行の色変更によってデータを分類すると、データベースとして使いたい検索やソートなどの機能が使えなくなります。分類は色ではなく、項目を設けることで行うのが大切です。

確実に識別できるように分類する

データ量が増えると、入力情報が完全に同じとなるデータが発生することがあります。区別できなくなり、重複していると考えた方が誤ってデータを消してしまうケースも起こり得るので、データは確実に識別できるように分類するのが大切です。

例えば、商品番号や独自のIDなどをデータごとに付与すれば、重複していると判断される心配もありません。データひとつひとつを識別できるよう、工夫しながらデータ管理をしてください。

エクセルでデータ管理するデメリット

低コストかつ手軽に導入でき、複雑な操作も不要でデータ管理ができるエクセルですが、いくつかデメリットもあります。デメリットを確認してから導入を進めるようにしてください。

複数人での同時使用が難しい

エクセルは基本的に、複数人で同時に使用や編集することには向いていません。複数部署が連携して行わなければならないデータ管理において、大きなデメリットです。

共有ブックや共同編集などの機能、オンラインストレージの活用により、ファイルの同時編集は可能です。しかし、情報更新にラグが発生したり、編集中の情報が見られなかったりするため、最新情報の共有ミスやデータの破損などに繋がるおそれがあります。

また、関数などにエラーが発生した際、原因の特定に時間がかかる傾向があります。データベースを作成した人でなければ原因を特定できないことも多く、作業が属人的になりやすいため、業務効率化を図るのが難しい点にも注意が必要です。

大量のデータ処理が難しい

大量のデータに対して複数の処理を同時に実行しようとすると、エクセルの処理が追いつかないケースがあります。データ量が多く、関数が複雑になるほど処理速度が低下し、作業効率が落ちてしまう可能性が高いです。

エクセルの1シートの行数は1,048,576 行であり、管理するデータ量が多い場合、1シートに収まらない可能性があります。データが複数シートにわたると管理や検索が複雑になってしまうため、大量のデータを管理するのにエクセルは向きません。

他のツールとの連携に向いていない

エクセルは他のツールとの連携に向いていないため、連携したいツールがある場合は使いにくいことがあります。

エクセルのデータを他のツールでも使うためには、手動でインポートしなければならないため、時間や手間がかかることに加え、情報取得時にラグが発生し、最新情報を維持できない可能性もあります。

例えば商品マスタを管理する場合、複数部署が持っている商品情報を吸い上げたり、各チャネルに情報を配信したりする必要があります。エクセルでデータ管理をすると、他ツールと連携できないため、エクセル上の商品情報を更新したうえで他ツール上の情報も別途更新しなければなりません。できるだけデータ管理の手間を削減したいのであれば、エクセルでの管理は不向きです。

多言語・多通貨に対応がしにくい

エクセルをデータ管理に用いる際のデメリットとして、多言語や多通貨に対応しにくい点が挙げられます。

日本国内に限らず、海外で事業を展開している企業にとっては、多言語対応や多通貨対応は必須です。エクセルでデータ管理をする場合、多言語対応にするためには都度翻訳をしなければなりません。翻訳ツールとの連携機能がないので、手間がかかってしまいます。

また、多通貨対応のためにマクロを組んだり、為替レートをリアルタイムで取得したりしてエクセル上で為替レートを確認する方法もありますが、時間をかけているあいだにレートが変わってしまうケースも少なくありません。エクセルではなく多言語や多通貨に対応しているシステムを使えば、課題は速やかに解消できます。

データ管理は専用システムで管理がおすすめ

データ管理はエクセルでも行えますが、業務で使用するにはいくつかのデメリットがあるため、より便利に使える専用システムを利用するのがおすすめです。

例えば商品のデータ管理であれば、商品情報管理システムを活用することで、販売に必要な商品情報やマニュアル、画像類などを一元管理できます。複数部署が所有している情報をまとめて管理し共有できるため、スムーズな連携による業務効率化を実現可能です。また、企業サイトやECサイト、カタログなど複数のチャネルとシステムを速やかに連携できるので、正確な情報を共有できます。

商品情報管理システムを使えば、膨大なデータ量を扱う場合でもラグの心配はありません。複数人での同時編集も可能なので、作業をスムーズに行えます。エクセルでのデータ管理では不十分な場合は、専用システムの導入を検討してみてください。

まとめ

データ管理をエクセルで行えば、低コストかつ手軽に導入でき、難しい操作も不要です。しかし、複数人での同時使用や他ツールとの連携などはエクセルでは難しいため、正確性を損ねたり手間がかかったりするケースもあります。エクセルでのデータ管理に不安を感じる方は、専用システムの利用を検討してみてください。
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