Webサイトの運営は今やビジネススタンダードであり、事業規模や地域を問わず、多くの企業がさまざまな目的でWebサイトを運営しています。総務省の調査によれば企業全体でのホームページ開設率は91.8%(平成30年度)にのぼり、前年から2.2ポイント増加しています。経営者の誰もがWebサイト運営の重要性を理解しているということです。
出典:総務省『平成30年通信利用動向調査報告書(企業編)』
また、Webサイトを運営している企業の半数以上が「企業情報を紹介する媒体」「採用活動の一環として」という位置づけにWebサイトを置いて運営しています。
一方で、Webサイトをリード獲得の手段として積極的に活用している企業も多くなってきています。このような企業が共通して行っていることは、Webサイトから得られるデータを活用して「可視化」・「分析」・「対策」・「効果測定」など、いわゆるPDCAサイクルを「デジタルマーケティング」と言われる手法を取り入れながら回していることです。
本記事では、自社でも始められる身近な内容を元に、デジタルマーケティングに取り組むためのポイントをご紹介します。
Webサイトデータとは?
Webサイトデータは文字通り、Webサイト運営を通じて得られるあらゆるデータのことです。Webサイトには日々さまざまなユーザがアクセスしており、その中でユーザは各々独自の行動を取っています。このWebサイト内におけるユーザの行動を可視化したものがWebサイトデータです。では、それらのデータはどのように収集し活用すればよいのでしょうか。
Webサイトデータを収集、活用するツールは非常に多くの製品やサービスが存在します。そこで、まずはその中でも最も基本になる部分として「アクセス解析ツール」の使用についてご紹介します。アクセス解析ツールは、Webサイトに専用タグを埋め込むことで、来訪ユーザ数、ページ閲覧回数、閲覧時間や行動の軌跡(入口から遷移、出口)など、Webサイトの利用状況について基本的な情報を収集できるようになります。
アクセス解析ツールは何を使う?
アクセス解析ツールとして世界中で最も利用されているのが、グーグル社が提供するGoogleアナリティクスです。なんといっても無料で使える点が人気の理由であり、かつWebサイトを丸裸にしてくれるほどのあらゆるWebサイトデータを収集できます。
Googleアナリティクスを利用するためには、一定の技術と知識が必要です。ただし操作するだけであれば難易度は高くないため、使いながら学習していくイメージで誰もが扱えるツールです。有料版も提供されていますが、よほど多くのアクセス数を持っているWebサイトか、高度な機能を必要としない限り無料版で十分事足ります。
もう1つご紹介するのがSimilar Webというアクセス解析ツールです。これは自社のWebサイトのアクセス数等を解析できるだけでなく、競合他社のWebサイトまで解析できる点が特徴です。基本的なデータを知るだけなら無料で扱えますが、グレードを上げるほど解析できることが多くなります。
これからデジタルマーケティングを始める場合は、これらのツールを使用すれば十分にWebサイトのデータ分析をすることができます。Webサイトデータを富に収集でき、抑えておくべき分析・解析機能も網羅されています。
Webサイトの何を分析するべきか!?
Webサイトデータを収集するためのアクセス解析ツールを用意し、あらゆるデータを集めたとして、実際にデジタルマーケティングの施策としてどのように生かせば良いのでしょうか。
そのためには、自社のWebサイトにどのように流入してきて内部でどのようなトラフィックが生まれているのかを理解する必要があります。ここでは代表的なものとして流入経路とユーザの行動を知る指標についてご紹介します。
流入経路
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オーガニック検索
ユーザが検索エンジン(Google,Yahooやスマートフォンの検索機能)を使用してキーワードを入力することで表示されたページにアクセスしてくる経路 -
直接トラフィック
ブラウザにURLを直接入力した状態でWebサイトにアクセスしてくる経路
ブックマークしているURLでも直接トラフィックと判定される -
Eメールマーケティング
配信されたメールに記載されているページをクリックしてアクセスしてくる経路
計測用パラメータが設定されている -
リファーラル
他のサイトにアクセスした際に掲載されているURLをクリックしてアクセスしてくる経路 -
検索連動広告
「Google広告」や「Yahoo!広告」など広告プラットフォームから配信される広告をクリックすることでアクセスしてくる経路 -
ソーシャルメディア
Twitterやfacebookなどソーシャルメディアで投稿された記事からアクセスしてくる経路
PCやスマートフォンを通じて普段何気なくアクセスしているWebサイトですが、実はアクセス分析により、どういった経路から流入しているか計測されています。
ユーザ行動
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ページビュー数
ページ閲覧数(閲覧回数)
ページが人目に触れた回数を指すため、基本的には多いほど人気がある、または注目されている状態 -
ページ訪問者数
ユーザが訪問した回数。一般的にセッション数として管理されることが多く、セッションが一定時間経過すると新たなセッションとしてカウントされる -
滞在時間
アクセスしているページに滞在している時間であり、記事を読んでいる、または動画を閲覧している時間とみなされる
(時には画面を開きっぱなしにして離席している場合もある) -
直帰率
同一サイト内の他のページに進まず、アクセスしたページだけを見て立ち去られた回数(セッション)を全体の比率で算出したもの -
離脱率
このページを最後に他のサイトへ遷移またはブラウザを閉じてしまった回数(セッション)を全体の比率で算出したもの -
イベント
ページ内に掲載している資料のご案内や問い合わせボタンなど行動を促すバナーをクリックした回数を計測したもの
その他にもページ閲覧箇所を見るツールやクリックを測定するなど、様々な行動測定の仕組みがありますが、Webサイトのアクセス数を交通量と捉えると、上記の指標が分析に役立ちます。
Webサイトデータを知り、何を改善すればよいのか?
アクセス解析ツールを使ってWebサイトデータを収集する目的は、継続的にWebサイトを改善していくことにあります。すでに公開されて何年も経過するWebサイトの場合は過去のログを分析するところから開始しますが、これから立ち上げる、またはまだ数ヶ月しか経過していないWebサイトの場合は、まずは数ヶ月間の傾向を把握するために継続した計測が必要となります。
前述したように、流入経路やユーザ行動がどのような数値を出しているのか、一定期間の傾向を見ながら現在の実力を把握する必要があります。
アクセス数(ページビューやページ訪問者数)がまだ少なく、月間の数値が数百・数千と言った状況だとすると、何はさておき、アクセス数を増やすための情報発信が必要になります。
一方で、アクセスを増やすと言ってもオーガニック検索(自然検索)の流入を増やしたいのか、ソーシャルメディアからの流入を増やしたいのかなど、どの流入経路からの訪問者を増やしたいかにより実施すべきデジタルマーケティングの施策も異なってきます。
コンテンツを強化するポイント
Webサイトの構造やデザイン、操作性や機能など、ユーザの共感や満足を得る要素はいくつもあります。しかし一番大切なことは、自社のWebサイトとして運営する以上は、自分たちの商品つまり製品やサービスについての情報を必要としている人に正しく届けることです。
もちろんWebサイトのアクセス数が多いには越したことはありませんが、関係ない訪問者まで集めてビジネスに直結していないようでは本来の目的を達成しているとは言えません。つまり掲載している情報の品質(必要な人に正しく届けることができているか)が一定レベルに保たれていることがとても大切です。
このことはニュースやエンタメサイト、または一般消費者向けのWebサイトに限った話ではなく、BtoB向けビジネスを手がける企業サイトも同様です。むしろ企業サイトほど自社の商品(製品やサービス)について正しく情報を掲載することが重要であり、そのことが企業の信頼性に直結することになります。
商品情報を掲載しているページは特にその重要性やニーズが高まるため、以下の点が網羅されていることが望まれます。
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ユーザにわかりやすいメニュー構造になっている
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記載している情報が常に鮮度を保ち、適切なタイミングで更新されている
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商品の体系に沿って情報が整備されている
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関連する情報や注意事項、法規制や認証情報など、付帯情報がきちんと表示されている
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価格や関連商品(オプション製品やサービスなど)の構成が正しく設定され、遅延なく情報も更新されている
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滞りなく商品情報を管理できる体制とプラットフォームが整備されている
BtoB向けサイトは、顧客によってそのWebサイト上で商品の検討や調査が行われるものであるため、適切な情報を発信しているサイトは明らかに優位になります。
また、サイトを構築する段階ではきちんと整えた情報であっても、時間の経過により情報の鮮度は失われていきます。特に商品情報では、度々行われるスペック変更や価格改定など、情報の陳腐化が早いため、常に情報を刷新するための体制と環境の構築が求められます。
まとめ
いかがでしょうか。Webサイトデータからはかなりの情報を収集することができ、ユーザの行動やサイトの改善点などもそれらのデータから見出すことができます。
そのため正しい情報提供の環境を整備した上でアクセス解析や行動分析を行い、届けたい情報をより多くの対象ユーザに届くよう日々改善していく必要があります。
デジタルマーケティングが広く普及し始めている要因もここにあり、実施したマーケティング施策がデータにより可視化できるため、状況把握や効果測定など今どうなっているか判断することができます。
エクサではBtoB向けビジネスプラットフォームの構築支援として、LIXIL様や東芝ライテック様、ニコン様など多くの導入実績があります。
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