「販社・代理店向けポータル」と聞いて皆さんはどのようなイメージをもつでしょうか?皆さんの業種や立場によってイメージがいろいろと異なってくるかと思います。弊社が提供する「販社・代理店向けポータルソリューション」は、製造業のBtoB企業に導入し、その企業の販社・代理店とのエンゲージの場を提供し、自社(BtoB企業)のファン化を狙うものとなります。このような販社・代理店向けポータルを構築する場合、CMSなどをベースにして構築していくことになりますが、CMS上にどのような機能を実現するのかは、企画・構想策定フェーズでよく検討する必要があります。また、構築して終わりではなく、その後代理店の利用状況や反応を見つつ継続的に改善していくことが非常に重要です。
今回は、販社・代理店向けポータルの導入目的の明確化や、初期構築後の継続的な改善について考えてみたいと思います。
販社・代理店向けポータルを導入する目的の明確化
「ポータル(Portal)」とは玄関や入り口という意味であり、Webの世界ではユーザが最初にアクセスするサイトをポータルと呼びます。販社・代理店向けポータルの場合、販社・代理店の担当者が必要とする情報やサービスが集約されていて、このサイトにアクセスすることで業務を効率よく進め、課題を解決できるサイトになります。しかし、初期導入段階で販社・代理店の求める要望をすべて叶えるようなサイトを構築するには、非常に多くの時間とコストがかかるため、優先度をつけてより導入効果の高い要望から実現していくことが必要です。
優先度をつけてサイト構築を進めるには、販社・代理店向けポータルを導入する目的を明確にする必要があります。まず、利用する販社・代理店の担当者といってもいろいろな職種やスキルレベルの方がいるので、初期導入でターゲットとするユーザを決めてから検討をすすめると導入目的を明確化しやすくなります。マーケティングの世界では、これらの代表的なユーザを「ペルソナ」と呼びます。検索サイトで「ペルソナとは」と入力して検索すると、どのように設定すればよいか参考となる情報が多数あるので、それらも参照しながらペルソナを設定していきましょう。
ペルソナの設定ができたら、そのペルソナが販社・代理店向けポータルをどのような目的で利用するのかを検討していきます。ペルソナの視点で検討することはとても重要です。商品情報を提供するという機能を検討する場合、ペルソナの職種が、営業、設計担当者、サポート担当者のどれを想定するかによって、必要とする商品情報が変わってきますし、商品の検索条件も変わってきます。また、ベテラン社員なのか経験の少ない社員なのかでも、実現するUI/UXに大きな違いがでてくるからです。
ペルソナを使うことで、販社・代理店向けポータルの活用方法が具体的にイメージできるようになると、管理すべき情報や提供すべき機能が明確になります。例えばペルソナとして営業を想定すると、商品情報を利用して提案資料が容易に作成できる機能を実現することが優先度の高い目的となります。その場合、商品の特徴や導入事例、他製品との比較などの情報の管理が必要なことが明確になってきます。ペルソナとして設計担当者やサポート担当を想定すると、詳細なスペック情報やオプション品との組み合わせ情報、保守期間や後継品情報が重要なことが明確になります。目的が不明確な状態で販社・代理店向けポータルの構築を始めると、販社・代理店の担当者が必要とする情報とマッチせず、あまり使ってもらえないサイトになってしまいます。そうならないためにも導入目的を明確化してから進めることがとても大切です。
導入目的の明確化については、企画・構想策定フェーズにおいて、ペルソナなどを使いどれだけ具体的に検討できるかに関わってきます。販社・代理店向けポータルの導入を検討するには、共創ワークショップのようなサービスを利用することで検討を進めやすくなります。(共創ワークショップについては、こちらのブログ記事もご参照ください)
販社・代理店向けポータルの継続的な改善のために
販社・代理店向けポータルは公開したら終わりということはなく、継続的に改善して、販社・代理店に対するエンゲージメントを強化していく必要があります。そのために重要なことは、アクセス解析になります。企画・構想策定フェーズで策定した目的が達成できているか、ユーザが操作の途中で離脱したり、想定と異なる使用方法をしていたりしないかなどをしっかり分析し、ユーザがより使いやすいものへと改善していくことが大切です。
特にユーザが想定と異なる使用方法をしている場合、販社・代理店が欲しているサービスと提供しているサービスのアンマッチが考えられます。ポータルサイトのようなユーザとの接点となるサービスは、ユーザファーストである必要があり、当初の想定にとらわれず、提供するサービスを柔軟に変更しユーザの要望に積極的に答えていくべきです。
初期の導入で十分な価値を提供できるようになったら、別のペルソナを定義し利用範囲を拡張していくのも良いでしょう。その場合、同じUI/UXに機能を追加していくと画面が複雑になり使いにくくなってしまうことが考えられます。パーソナライズの機能を実現し、異なるペルソナ/ユーザがスムーズに使えるよう最適化を図るのがよいでしょう。
現在、世界中でデジタルシフトが加速されており、販社・代理店の業務も常に変化している状況です。業務が変わると、販社・代理店向けポータルに求められる機能も変わってきます。よって、販社・代理店向けポータルの構築は、アジャイル開発を用いて短いスパンで機能を実現したり、初期導入後も継続して機能のブラッシュアップや仕様変更を取り入れ、改善を続けていくことが重要になってきます。
まとめ
DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が頻繁に使われるようになり、ビジネスのあり方が見直されるようになりました。そしてコロナ禍により、オンラインでのビジネスの重要度が増しており、コロナ収束後もこの流れは継続されるでしょう。
製造業において、販社・代理店との良好なエンゲージメントは非常に重要であり、そのためには販社・代理店向けポータルの良し悪しが大きく影響します。目的を明確にして、必要となれば大胆な見直しを実施し、価値あるものを提供し続けることがエンゲージメントの強化、そしてWin-Winの関係に繋がるでしょう。
エクサでは、PIMによる商品データ管理からCMSでのWebサイト構築、販社・代理店向けポータル構築まで幅広くサービスを提供しています。商品データの管理、Webやポータルでの情報公開についてお悩みの際は、ぜひエクサにご相談ください。