全5回にわたって、商品情報管理(PIM)の必要性からプロジェクト成功の秘訣まで、PIMを徹底解説します。お楽しみください!
こんにちは。エクサでWebソリューションの営業を担当している「若手E」です。
日々ソリューションの勉強をしながらデジタルビジネスの将来を考えているまだまだ駆け出しの社員です。営業やエンジニアの先輩に優しく(?)指導を受けながら、お客様のお役に立てる一人前の営業になれるよう頑張っています!
第1回 PIMってなんだ???
私がこれまでお客様から伺うご要望として多かったのは、「Webデザインを統一したい」「きちんとWebサイトの管理を行いたい」といったサイトのページ管理に関するお話でした。しかし最近では、メーカーに代表される自社商品を製造販売している企業様、また様々な商品を取り扱い、サービスを提供している企業様では、そもそも「サイトに出す商品情報をどうするか」ということに悩みを抱えておられるように感じています。
先日、あるメーカーの担当者様を訪問する機会がありました。
「ウチの商品は点数も多いしバリエーションも豊富なんだが、逆にサイトでそれをうまく表現できないんだよね」
「それに新商品が出ても販社や代理店にリアルタイムで伝えられなくて『もっと早く教えてくださいよ』って言われちゃうんだよな」と話されていました。
こんなことをあちらこちらで耳にすると、お客様のお力にはなりたいけど、何が問題だかはっきり分からないし、どうしたら解決できるかも思いつかない・・・とモヤモヤした日々を過ごしていました。
営業の「先輩T」さんとランチ中にそんな話をしてみたところ、Tさんの目がキラっと光りました(...ような気がしました)。
要するに、キミの悩んでいるサイトに出す商品情報をどうするか?が解決できるものなんだよ。
キミがお客様から伺っているように、新商品を頑張ってWebに掲載しようとしても時間がかかる、などの課題を抱えるケースは増えてきているよね。それはなぜだと思う?
インターネットが出始めの頃は「ウチの会社もホームページを出さなきゃ!」だとか、
他社がECを始めたら「なんでウチはECをやってないんだ!すぐやれ!」
携帯サイトを頑張って作ってたら「スマホ対応はいつできるんだ?」
レコメンドが効いてない、ポイントを付けろ、検索精度が悪い・・・
というように、企業のWebシステム担当者さんはあちこちから色んな注文をつけられて、その度にコンテンツ管理とかECパッケージ、検索エンジンなどその時に必要と思われたソリューションを導入することでなんとか対応してきたんだ。
さらに、基幹システムとかから個別にデータを引っ張ってきて仕組みを構築してっていうのを繰り返して、サイトやチャネルの裏側がタコ足配線のようにどんどん複雑になっちゃった...。
個別に商品情報を持っているもんだから、新商品がでると、チャネル毎に商品情報登録・配信の業務が発生してしまう。
しかもだ、ばらばらに管理されているから、同じ商品でもチャネル毎にスペックが異なったり、価格を間違えたりといった問題も出てくる。
サッカーで言うなら攻守のバランスを取りながら、味方にパスを出したり指示を出す、攻撃の起点となる司令塔。野球で言うなら、ピッチャーや野手にサインを送り、試合を組み立てるキャッチャーのような役割だね。
PIMについて、もう少し勉強したいと思います!
今回のコラムで、「PIMってなんだ?そんなにいいのか?」とご興味を持って頂けましたら、次回以降のコラムにもお付き合い頂けますと幸いです。
次回は、私の営業の先輩Tさんから、「なぜ今PIMに取り組むべきなのか」を豊富な経験をもとにご説明させていただきます。ご期待ください!
第2回 なぜ今PIMに取り組むべきなのか?
こんにちは。
エクサでWebソリューションの営業を担当しております、Tと申します。
前回は後輩Eの体験談をもとに、そもそもPIM(Product Information Management)とは何かについて、お話させていただきました。
今回は、なぜ今「PIM(商品情報管理)に取り組む必要があるのか?に焦点をあててお話したいと思います。
今も昔も本質的に重要なことは変わらない
鎌倉時代から江戸時代にかけて活躍した近江商人は「三方よし」を理念としていました。
「買い手よし、売り手よし、世間よし」つまり買っていただいたお客様も、売ったこちらも幸せに、そしてそのことによって社会も良い方向に導かれていくことがビジネスの基本である、と考えていました。
ビジネスにおける「デジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)」というキーワードをよく目にしますが、Wikipediaによると「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるという概念である」とされています。
時を隔てても、ビジネスにおいて本質的に重要なことは不変である、ということでしょう。
デジタルビジネスにおいても、こういった重要なことを見失わないことが一番大事な観点だと思います!
何を大事にすべきか
では、本質として企業が「大事」にしなければならないものは何でしょう?
実際に「モノ」を作って売っている企業であれば、大事にしなければならないもの、それは、まず第一に「モノ」を買ってくださる「お客様」、そして自信をもって世に送り出している「商品」だと思います。「お客様」にどれだけ自社の「商品」を知っていただくか、興味を持ち理解していただくか、ファンになってもらえるか、ということに企業は心を砕いていく必要があります。
そして、そこに必要なITは、そのための機能を提供し、関連データを管理するものとなります。
自社都合に根差したモノ売りから、顧客目線でのコト売り(付加価値、顧客体験等)へのビジネス変革を進めよう!と、叫ばれています。それは「モノ」がしっかりしているから「コト」を創造できるのだと思います。その大事な「モノ」である「商品」の情報が、お客様にいち早く、分かりやすく伝わるように、「コト」売りのような環境の変化に素早く柔軟に対応できるように管理されている必要があります。
お客様は「コト」を想像できる!
企業の現場の実態は?・・・
しかし、企業内の現場の実態はどうでしょうか。
例えばWebサイトでの商品情報の掲載・発信に関して、企業の担当者様からは、以下のようなお悩みをよく聞きます。
- 新商品の情報がタイムリーに提供できない
例)お客様に買って頂くための情報が管理されておらず、都度Web担当者と商品担当者が検討して公開している。 - 推奨商品へ誘導できず売上増加に繋がらない
例)推奨商品や後継商品などの情報が統合管理できておらず、お客様にうまく訴求できていない。 - 複数の組織やシステムが関連するため、業務が複雑
例)チャネルごとに担当部署・システムが異なり、新商品発売/商品変更時にどのシステムにある情報をどこまで変更すればよいか分からず、更新確認作業に工数がかかる。
皆さんの会社ではいかがでしょうか。最も重要なことは、商品の情報をいかにお客様に分かりやすく、タイムリーに伝えるか。わかってはいるが、現実にはなかなか出来ていないケースが多いのではないでしょうか?
顧客接点となるチャネルや顧客ニーズにあわせた商品の多様化により、
商品情報の掲載・発信に関わる現場の運用は大変です!
企業を取り巻く状況はどうなる?・・・
次に、企業を取り巻く状況は今後どうなっていくのか、という観点で見てみましょう。
2018年に公開された経済産業省「DXレポート」は注目を集め、頻繁に更新され2022年7月に「DXレポート2.2」が公開されました。
DXは収益向上を目指すべき、という点は2018年の最初のレポートから変わっていません。
「DXレポート2.2」では、どうすれば成功させられるのか、その方向性を、模範的企業への調査結果から示しています。
その方向性とは、新規ビジネス創出だけではなく、既存ビジネスであっても「デジタル技術の導入による既存ビジネスの付加価値向上(個社の強みの明確化・再定義)」を目指すこと、というものです。
もし、あなたの会社が自社で新規サービスを立ち上げるという話が出た場合、すぐにそのサービスを立ち上げることはできるでしょうか?あなたの会社の商品の強みを再定義するため新しいプロモーション施策を打つとなったとき、間に合うでしょうか?責任者は誰ですか?どの部署が担当しますか?そして何をするにしても中心となるデータの整理・管理はできていますか?
立ち上げに1年かかるだろうなぁ、なんて感じていませんか?
商品を扱っているのであれば、まずやることは・・・
我々のようなIT業界から見てもIT技術の進化は驚くべき速さで進んでいます。それがどう社会に貢献するのか、ビジネスにどのような影響を与えるのか、正確に予想するのはなかなか困難ですが、遅れをとらないように準備しておくことは出来ます。
テクノロジーの変化、市場の変化は、異業種からの参入等の脅威もありますが、より良いサービスがどんどん拡がっていく可能性を秘めていることも事実です。そういった視点で考えると、これからどんなサービスがでてくるのか、非常にワクワクします。より便利な世の中になるこれからの時代、ITを活用して、それに備える、そのための第一歩としてどの企業でも取り組めることがあると思います。
もしあなたの会社が商品を作り、お持ちであり、扱っていらっしゃる企業であるならば、現在の課題に対応し、将来の変化に備え、新たなビジネスに取り組むために、「商品」の情報を有効に発信・利用できる基盤を持っておく必要があると考えます。
企業のスタープレイヤーである「商品」、その情報を最大限に活用し、市場の変化に柔軟に素早く対応ができる基盤、それがPIMだと我々は考えます。
あらゆるチャネルやサービスに発信できるように備えておくことをお勧めいたします!
PIM導入で実現できる代表的な機能/サービスをまとめてみました。
PIMの機能・サービスの詳細については、PIM紹介ページをご覧ください。
https://digital-business.exa-corp.co.jp/solutions/pim.html
今回のコラムで、PIMに取り組むべき必要性について説明させていただきました。
冒頭で「三方よし」のお話をさせていただきましたが、近江商人は「始末してきばる」という理念も持っていました。
始末してきばる
「始末」とは無駄にせず倹約することを表すが、単なるケチではなくたとえ高くつくものであっても本当に良いものであれば長く使い、長期的視点で物事を考えること。また「きばる」とは本気で取り組むこと。(Wikipediaより)
PIMが「本当に良いもの」かどうか、それはどういう状況でどう活用するかによります。「本当に良いもの」としてご活用いただけるように、私も「きばって」まいります!
次回コラムは、コンサル担当のNから
「PIMの効果は絶大!?でも投資対効果が伝わりにくい!どうやって効果を出せば良いのでしょうか?」を説明させていただきます。
第3回 PIMを導入することで得られる効果とは
前回の第2回目では『なぜ今PIMに取り組むべきなのか?』と題して、B2B企業様における商品情報管理の意義について説明させていただきました。最後までお読みいただけたでしょうか?
執筆を担当した営業Tは、PIMの話題になるとつい力が入りすぎてしまいます。。。(苦笑)
もし、わかりづらい点(近江商人の例えが腑に落ちない!など)がございましたら、お気軽にお問合せください。営業Tがしっかりと補足させていただきます。
さて、今回はPIMを導入した場合の効果について説明いたします。
そもそもPIMの効果とは何でしょうか?売上増?コスト削減?ブランド力向上?
あまりピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。ECなどの顧客チャネルがビジネスの成果に直結するものであるのに対し、PIMはそれを支えるプラットフォームであることが説明を難しくしているかもしれません。
本来、PIMは全社共通のビジネス基盤として効果は絶大(のはず)ですが、いざ導入となると投資対効果の説明で行き詰まり、経営層や現場の理解が得られず断念、というケースも少なくありません。
今回のコラムではこうした効果面での説明に役立つヒントをお届けいたします。
PIMの効果を売上増の観点で考える
第1回目、第2回目でお伝えしたとおり、PIMの位置付けは販売・マーケティングのための商品情報管理です。
ECなどの顧客チャネルで自社の商品を訴求するために、商品情報を販売用に最適化して一元管理します。
その目的は、やはり売上への貢献です。
では、効果はどのように考えればよいでしょうか?一般的な売上の計算式を例にとって説明したいと思います。
売上 = 顧客数 × 成約率
※売上の構造は各社各様なので、本コラムでは「顧客数×成約率」を例にとって進めてまいります。
① PIMを導入することで顧客数は増えるのか?
PIMの導入で一番効いてくるのはこの部分です。 |
② PIMを導入することで成約率は上がるのか?
PIMは顧客に対し商品を訴求しやすい形で情報を保持します。 |
PIMの効果をコスト削減の観点で考える
PIMの導入により売上が増えても、それに伴うコストが膨らんでしまっては本末転倒です。
では、コスト削減の効果はどのように考えるべきでしょうか?ここでも一般的なコストの計算式を例にとって説明します。
コスト = 業務量 × 生産性
① PIMを導入することで業務量は減るのか?
例えばメーカー様の場合、営業活動に必要な販促資料は社内に散在していることが多く、営業マンが各部門に問合せて個別に取り寄せるケースが多いかと思います。 |
② PIMを導入することで生産性は向上するのか?
PIMは商品情報をデータ化してシステム上で管理するため、外部含めた他システムとの連携が容易になります。 |
大事なのはPIMの目的を明確化すること
ここまでPIMの導入効果について説明させていただきましたが、そもそも効果を考える上で重要なことはPIMを導入する目的の明確化です。
PIMを導入して何をやりたいのか、何を目指すのかが明確でないと、実のある議論が出来ずにPIMの導入は見送られてしまいます。本質的に考えると、PIMは部門独自で導入するものではなく、複数部門の横断的な取り組みとして検討していくものですので、一枚岩になるための基本方針がないとなかなか前に進みません。
よくある話として、本来売上増や販売業務の効率化を検討すべきところ、いつのまにか販売に直接関係のない業務も含めた全体最適化の話になってしまい、その結果、主管部署が決まらなかったり、予算が十分に確保できずに、プロジェクト化が見送られるケースが挙げられます。
なかには、各部門の要望を最大公約数的に取り入れた結果、単なるドキュメントサーバーの導入で終わってしまい、販売の強化どころか、業務効率化も図れない場合もあります。
なるべく早い段階で経営層の承認を取り付けてトップダウンで推進することも重要になってきます。また、現場の理解を得るための地道な活動も必要です。
そのためには、経営戦略に沿った大目標を掲げるだけではなく、現場に即した即効性のある目標設定も重要になってきます。これらを踏まえた上で、PIM導入のロードマップが描ければいよいよプロジェクトのスタートラインが見えてきます。
次回のコラムでは、同じコンサルティング担当のKから、
『PIMの効果はわかった、じゃあどうやってプロジェクトを進めたらいいの?』と題して、
弊社が考えるプロジェクト推進におけるポイントや実際の苦労話などをご紹介させていただきます。
ご期待ください!
第4回 PIMの効果はわかった、じゃぁどうやってプロジェクトを進めたらいいの?
さて、第4回目は『PIMの効果はわかった、じゃあどうやってプロジェクトを進めたらいいの?』と題して、私の経験を踏まえたプロジェクト推進におけるポイントを紹介させていただきます。
一口にプロジェクト推進と言っても、要件定義から設計、実装、テスト、移行等々、いろいろな作業がありますが、PIMプロジェクトとして一番重要なのが上流工程です。ここでいう上流工程とは、プロジェクトの目標設定やプロジェクト計画等のプロジェクト開始の準備作業となる構想策定と、要件定義を指しています。
PIMのプロジェクトは部門を跨いで検討することが多く、ステークホルダーが増える傾向にあり、場合によっては国外の方とのやりとりもありますので、上流工程でしっかりプロジェクトの方向性を明文化し、ステークホルダーに共通認識を持たせることが重要です。
ここからはPIMプロジェクトの上流工程における推進上のポイントを3つ紹介します。
PIMに対する捉え方は統一されていますか??
PIMプロジェクトで一番大事なことは、PIMで実現できる事を明確にし、ステークホルダーに共通認識を持たせることです。ここを押さえて置けば、プロジェクトの8合目は超えたと言っても過言ではありません。但し、実際はこの点をないがしろにしたままプロジェクトがスタートしてしまうケースが散見されます。 |
まず始めにこのプロジェクトの目的ですが、『本社から販社に向けて、販売用の商品情報を効率的に提供すること』とお聞きしていますがよろしいでしょうか?
だって文書管理の役割もPIMって持つんですよね? なら入れてもらわなきゃ困ります。
かなりの確率で実際に行われる会話です。本社事業部担当Bさんが、PIMの定義を販売用の商品情報だけでなく、設計業務で作成される文書も含めて管理するイメージを持っていることが問題です。
よくPLMとPIMの違いが分からないと言われる方がいらっしゃいますが、PIMは最終的に顧客にアピールするための商品情報を管理する器であり、設計・開発・製造における現場で使う製品情報を管理するものではありません。ここを明確にしてプロジェクト推進することが重要です。
それは現実的かつ効果的な運用でしょうか??
さて、8合目まで到達したから後は勢いでクリア! と言いたいところですが、まだ落とし穴があります。 |
部長以上は不在なことが多いので代理承認も入りますね。
承認するのに1,2週間は掛かりますね・・・。
PIMで承認された商品情報が「お客様に公開される商品情報」になりますので、より慎重に承認ワークフローを定義したい気持ちはよくわかります 。但し、承認することに数週間を掛けてしまうと、その分お客様への公開が遅れることになります。
特に新商品情報は鮮度が命ですので、現実的な承認ステップ(1,2ステップをお勧めしています)にして、より迅速に商品情報を公開することに注力すべきです。
ここではワークフローの例で説明しましたが、それ以外にもガバナンスを意識し過ぎるあまり、PIMへのアクセス権限を細かく設定しすぎて運用しづらくなったり、必要な方に情報が開示されなかったり、といった弊害もよく聞かれます。
PIMを構築して、その後のデジタルビジネス基盤として継続的な運用を実現するためには、現実的かつ効果的な運用を目指すことが肝要です。
PIMに入れるデータはしっかり準備できていますか??
さあ、最後のポイントです。それはPIMの方向性や運用の定義をした上で、PIMの肝となるデータをしっかり準備することです。 |
ここまでで、 PIMプロジェクトの上流工程における推進上のポイントを紹介しましたが、実行に移しプロジェクトを成功に導くためには、ステークホルダー各人が「お客様へのサービス向上のための仕組み」を目指すことを念頭に置いて、組織の壁を超えて協力し合うことが必要になります。 |
システムは人が動かすもの、特にステークホルダーが多いPIMは尚更!の信念の下、PIMの構想策定からシステム構築まで一気通貫で支援させていただきます。
文字数の制限もあって今回は割愛してます・・・。
続きは是非お会いした際に、ハゲしく熱く語らせていただきます。
次回のコラムでは、開発責任者のYから『PIMのベストプラクティスとは!? デジタルビジネス本格スタートに向けて』と題して、弊社が考えるPIMのベストプラクティスと、お客様のデジタルビジネスを支えるエクサスマートプレイスソリューションを説明させていただきます。
ここまでお読みいただけたのなら、もうあと一回です。
宜しくお願いいたします!
第5回 PIMのベストプラクティスとは!? デジタルビジネス本格スタートに向けて
本コラムを第1回からお読みいただき、まことにありがとうございます。エクサのPIMにかける情熱がお伝えできていれば幸いです。
最終回は『PIMのベストプラクティスとは!? デジタルビジネス本格スタートに向けて』と題して、我々の経験にもとづくお話を交えながらおおくりいたします。
(PIM:Product Information Management 商品情報管理)
B2B企業を取り巻く状況・環境
先日私の部下のチームリーダAさんと、我々のお客様の近年の動向について雑談しました。
でもその時は「これは新興のネット屋さんだからやる・出来る話であって、リアルビジネスで堅実に商いされているB2B企業さんが真似するもんじゃないな」と思ってたんだ。でも最近じゃ、従来通りのやり方では各企業も生き残れないと感じているのか、ネット企業のようなアプローチで新たな領域を獲得しようとしているんだね。
さて、「第1回:PIMってなんだ??」で企業内のシステムがどうなっているか、をご説明いたしました。
ネット専業会社はチャネルの1つであるWebでビジネスを展開され、システムもここを中心に組み立てられています。対してB2B企業は長年かけて基幹システムを構築し成熟させてきました。
ネット専業会社は立上げ当初の「情報をリスティング表示して広告をクリックしてもらう」「出店してもらい手数料で儲ける」というマネタイズから、自社でデータや仕掛/システムを持ってビジネスする、ビジネスプラットフォームを構築・管理しその上で様々なビジネスを試していく、というところに進出されています。
そして近年、B2B企業においても、これまでのリアルビジネスから、Web等のチャネルを活用する新たな展開に取り組まれ、資源・資金をチャネル向けに投入しシステムを構築し、デジタルビジネスに本腰を入れ始めています。ネット専業会社、B2B企業、両者の距離感は、少しづつ、だんだん縮まっていっていると感じています。
今後、市場、カスタマーの要求~ビジネスリードの波が今にも増して押し寄せてくるのは間違いないと思います。
これに対し、ネット専業ではないB2B企業が専業会社とまったく同じことをやる必要はないと思いますが、自社のビジョンや方針、戦略といったものを明確にしておかないと、この波にもまれてビジネスもシステムも混沌とした状況になってしまうのではと、危惧しています。
現在そしてこれからの状況・環境を踏まえたPIMの位置づけ
チャネル層での展開にはスピードが求められます。新しい技術・サービス・スキームが次々と生み出され、成功をおさめるものもあれば一過性のものもあり、百花繚乱の様相を呈します。チャレンジしなければ成功はないので、短いスパンでトライ&エラーを繰り返します。
対して基幹システム層では、安定性や堅牢性、地道な改善が必要であり、長いスパンで構築され運用されていきます。
PIMはこの2つの層の間に位置するもので、両方の特性を理解し、両方のニーズに応えていくべきものです。
基幹システム層からはベースとなるデータを定期的に流し込み、PIMの機能で販売・マーケティングに必要な情報を付加し、チャネルのニーズに応え情報をタイムリーに出し分けます。基幹層とのI/Fには確実な処理が求められ、チャネル層とのI/Fではタイムリーな情報の配信と、変更要求に対するクイックな対応が求められます。
PIMのベストプラクティス
B2B企業を取り巻く環境、状況、その中でのPIMの位置付けを踏まえ、我々が考えるPIMのベストプラクティスを述べます。
- スモールスタート + 歩みを止めない
社内に拡散している情報を集めてデータ化したり、基幹システムから確実にPIMに流し込み不足情報を付加していく仕掛けや運用は絶対に必要ですが、チャネルでの展開について最初から「あれもこれも」としてしまうと時間がかかり規模も膨らみプロジェクトリスクが高まります。
総花的に要求を盛り込んでバランスを取ってしまうと、結果的に目立った効果が出ない・分かりづらいことになってしまいます。プロジェクトも巨大化し、それでもなんとか進めていくと・・・終わった時には「一応やり切った」感が蔓延し、次のステップが止まってしまいます。
PIMはデジタルビジネスのプラットフォームであり、一度構築した後はチャネルでの展開を継続して実施することが重要で、その展開のためのPIM改修も継続していく必要があります。この流れをきちんと作るためにも、最初はスモールスタートで、チャネルでの経験をクイックにひとつづつ積み重ねる、これがポイントです。
一例としてまずは、PIM⇒Webの情報展開とし、Webについても限定し、コンシューマー向けのみ、販社・代理店向けのみ、商品カテゴリも絞って洗練させる、というように対象を明確にする。そして、既に情報掲載のダイナミックな仕組み(CMS等)をお持ちであれば、その仕組みとの連携でクイックに立ち上げる、その仕組みがなければ、PIM⇒検索~表示、までをミニマムで構築する、といった形での展開をおすすめします。
デジタルビジネスの本格スタートに向けて~エクサのソリューション・サービス
これまでのコラムを踏まえ、総括いたします。
各チャネルでのビジネスをタイムリーに実現するためには、チャネルと基幹システム間における中間層での連携の複雑さを解消し、ビジネスシーンにマッチした 情報を付加し洗練するためのデジタルビジネス向け基盤が必要です。これにより、チャネルに捉われることなく、顧客への一貫したアプローチが可能となり、他社との差別化を図るビジネス展開が容易になります。
チャネル=攻めの特性(柔軟で、迅速なビジネス展開)、基幹システム=守りの特性(堅牢で安定した業務システム)が求められるため、中間層となるデジタルビジネス向け基盤は、それぞれの特性や求められる要件のバランスを考慮しながら、各企業の独自性を打ち出せる仕組みである必要があります。
エクサはこの差別化を図るべき領域に着目し、お客様のデジタルビジネスをスマートに展開するためのものとして、B2B企業のデジタルビジネスに必要な機能・サービスや販売業務の効率化とマーケティング業務の高度化を支援するソリューション・サービスを各種ご用意しています。
エクサはこの領域における豊富な導入実績をもとにした現実的な導入ステップやプロジェクト推進のノウハウ、アセットの活用などにより、「攻 め」と「守り」の両側面から、B2B企業のデジタルビジネス化をご支援いたします。
おわりに
我々のコラム「B2Bビジネスの新常識 【PIM徹底解説】」をお読みいただきありがとうございました。
激しく変化する社会情勢の中、パラダイムシフトが起こりビジネス上のニューノーマルとして定着していくことが予想されます。各企業には、従来のビジネスからデジタルビジネスへ向けた舵取りが求められています。皆様のチャレンジにおけるパートナーとして、全力でご支援させていただきます。宜しくお願いいたします。