DXPとは? 注目される背景や導入で実現可能なことを紹介

2022.07.28  株式会社エクサ

今日の顧客はどのデバイス、どのチャネルにおいても一貫して良質な顧客体験が提供されることを企業に求めています。DXPは、このような顧客ニーズに応え、マーケティングのオムニチャネル化を実現するためのソリューションです。本記事では、DXPが注目される背景とその機能 を分かりやすく解説していきます。

DXP(デジタル・エクスペリエンス・プラットフォーム)とは

DXPとは、「Digital Experience Platform(デジタル・エクスペリエンス・プラットフォーム)」の略称です。現代の多様化したチャネルを管理統合するプラットフォームを表し、カスタマージャーニーを通してシームレスかつ最適なデジタル体験を顧客に提供することを可能にします。

DXPは、ERP(Enterprise Resources Planning:企業資源計画)やCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)のような従来の基幹システムと比べ、自社の業務効率化にとどまらず、顧客体験の改善に重点を置いています 。DXPはさまざまな用途に活用できますが、とりわけデジタルマーケティング戦略におけるオムニチャネルやパーソナライゼーションの促進などが期待されるソリューションです。

DXPが注目される背景

グローバルインフォメーション社の 市場調査によれば、DXPの市場規模は2022年以降、年平均13.3%という高い水準で成長しつづけ、2030年には304億1,000万米ドル規模にまで発展すると予想されています。
(参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003574.000071640.html

このようにDXPが注目されている背景には、デジタル技術の発展があります。インターネットやスマートフォン、SNSなどの普及により、現在のユーザーがデジタルコンテンツを閲覧するチャネル(顧客接点)は非常に多様化しており、顧客の行動や価値観も複雑になっています。特に近年はサブスクリプションサービスに代表されるように、「モノ売り」から「コト売り」重視のビジネスへの移行が進んでいることから、企業は製品・サービスの性能面・価格面だけでなく、顧客体験や顧客との結びつきの強化を重視する ようになりました。

顧客体験を向上させる上で重要となるのが、複数の顧客接点のいずれにおいても一貫したアプローチを実現することです。例えば、通勤・通学などの隙間時間にスマホアプリでチェックした商品を、帰宅後にPCやタブレットのブラウザーから再確認する人は多いでしょう。この際、スマホアプリ上で閲覧した商品の履歴が、PCやタブレットのWebサイト上に反映されていなければ、顧客はまた最初から商品情報を検索しなければいけません。また、ECサイト上で購入した商品の宣伝が、直後にメルマガやポップアップなどに表示されれば、顧客は「もうそれは買ったのに」といった思いをしてしまうことでしょう。

チャネルごとにデータベースがサイロ化(孤立化、分断化)されている場合、このように顧客のデジタル体験にも分断が生じてしまいます。この点において、マルチチャネルを統合管理するDXPは、情報の一元化を実現し、顧客のデジタル体験をシームレスにつなぐことが可能です。DXPの導入によって企業は、「情報の一元化によるデータ分析やデータ活用の促進」「複数のシステムの運用効率の改善」「よりパーソナライズされた施策による顧客体験や顧客エンゲージメントの向上」などが期待できます。つまりDXPは、オムニチャネルを実現するための手段として注目されているのです。

DXPに含まれる機能

次に、DXPの機能について解説していきます。ここで最初に押さえておきたいのが、DXPはCMS(Content Management System:コンテンツ管理システム)やWEM(Web Experience Management:Webエクスペリエンス管理)の発展形に当たるソリューションであることです。したがって、DXPの機能には、CMSやWEMの機能と重なっている部分が多々存在します。

例えば、複数のコンテンツを維持・配信するための基盤を提供するのがCMSの主な機能です。WEMは、そのCMS基盤に機能を追加して、Webブラウザーやモバイルアプリへのコンテンツ公開など、Webベースのエクスペリエンスの実現を支援します。そしてDXPは、これらCMSやWEMの機能をさらに多様なデジタル環境に拡張し、ビジネスの成果につながる効率的または自動的なコンテンツフローを制御するのです。

こうした特徴から、DXPは主に次のような機能を有しています。

  • CMS機能
    複数のチャネルにおけるコンテンツの管理・編集・配信などを制御する。

  • セキュリティおよびコンプライアンス機能
    個々のコンテンツやデータに対してアクセス認証などを施して安全に保護する。

  • アセット管理
    チャネルやデータの形式に関係なく、あらゆるデジタル資産を保存・管理する。

  • eコマース
    eコマース用のインターフェースや在庫の管理・処理、自動アクションなどを提供する。

  • 顧客エンゲージメント管理
    カスタマージャーニー全体を通して顧客情報の管理追跡を一貫して行う。

  • オムニチャネル
    チャネル横断的な自動化や顧客体験を可能にする。

  • データの統合と分析
    チャネル横断的にデータを統合し、AIの機械学習などを用いてインサイトを提供する。

DXPで実現可能なことやメリット

続いては、DXPでどのようなことを実現可能なのか、企業はどのようなメリットを得られるのかを解説していきます。


データの一元化や分析

DXPはあらゆるチャネルのデータを統合管理できます。これによって企業は各顧客接点から収集したデータをフル活用してデータ分析を行い、顧客情報をはじめとするビジネスに役立つインサイトを効果的に得ることが可能です。

顧客に合わせた商品を効率的に表示

eコマースから発展したDXPは、価格、支払&請求、ショッピングなどに関する機能を備えています。また、上記のメリットと関連して、個々の顧客情報の正確な把握が可能です。これによって企業は、各顧客に向けてパーソナライズされた商品やキャンペーンをタイムリーに提供できます。

セキュアな運用

DXPはセキュリティ面の脅威をリアルタイムに軽減できます。昨今では顧客接点が多様化した影響からデータやコンテンツのセキュアな管理が課題となっていますが、DXPを導入することで安全な管理運用が実現可能です。

DXP導入の注意点

最後に、DXPを導入する際の注意点を解説します。

まず重要なのは、自社に必要な機能要件を明確にすることです。どれだけ豊富な機能を搭載していても、使いきれないのであれば意味がありません。それどころか、性能と価格は通常トレードオフの関係にあることから、必要以上の機能や性能はコスト面での課題を生じさせる結果になります。

次に注意するべき点は、DXPは単一でも機能するソリューションではあるものの、個々の企業のニーズを柔軟に満たすためには複数の製品と組み合わせた方が効果的であるということです。したがって、DXP製品を導入する際には、他のツールとの連携性や拡張性を考慮することが大切になります。

もちろん、DXPの核心的な機能として、さまざまなチャネルの統合が容易にできること、あるいはそのための特性のひとつとしてクラウド対応している製品であることも同様に重要です。

まとめ

DXPはCMSなどの発展的なソリューションとして、チャネル横断的なデータ活用や顧客体験の提供を可能にします。デジタル社会が今後ますます発展していくにつれ、顧客接点のオムニチャネル化は企業にとってより重要な課題となるでしょう。将来を見据えた戦略として、DXPの導入は有力な選択肢になります。

こちらの資料では製造業でデジタルマーケティングに取り組む際によくある障壁、その対策について解説しています。最新のDXPの考え方を念頭に置きつつ、いま自社に必要な機能はどれか、検討のためにあわせてぜひ参考になさってはいかがでしょうか。
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