単位を定義する ~商品情報データモデル~

2019.12.16  株式会社エクサ

リードエンジニアブログ 『商品情報のデータモデル編』
第2話 単位を定義する

本記事では、商品情報の「データモデル」というテーマで進めています。第1話では、データモデルの重要性についてお話しました。第2話からは具体的にデータモデルで何を定義していくかについてご紹介します。

まずは「商品」を定義しましょう

PIMのデータモデルを検討するにあたっては、最初に、PIMで管理する「商品」という概念を定義することになります。

これまでの経験上、「商品」という言葉が具体的に示すものというのは、お客様によってまちまちですし、お客様の中でも担当業務によって示すものが違っていたりします。例えば「付属品」「説明書」「スペアパーツ」などのオプション品も「商品」と定義するケースもありますし、これらも含めて「カートに入れて購入できるものすべて」を「商品」として定義するケースもあります。

私が関わったプロジェクトでも、スタートしたての頃には『商品情報は・・・』と会話していても、各人で頭に浮かべている実際のモノが全然違っていて会話が噛み合わない、ということが度々ありました。

そのため、初期の段階で「商品とは」という大前提を共通認識として定めておくことで、コミュニケーションもスムーズになり、後工程でポロポロと「あれも商品だった」「これも商品だった」とデータモデルが当初のものからどんどん変わっていくというという事態をさけることができます。


「商品」を定義する具体的な方法として、最初に「商品」として考えているモノを一度、すべて俎上にあげ、以下の観点で大まかに区分けしていくというプロセスがお勧めです。


point-of-division.png


まず、何が「商品」なのかの検討が必要です。例えば"組み立てサービス"のようば「サービス品」も商品なのかなどを整理・検討していきます。

次に、商品の「単位」という観点で検討します。例えば「Tシャツ」を商品と定義するのか、「MサイズのTシャツ」を商品と定義するのか、「赤いMサイズのTシャツ」までを商品と定義するのか、という観点です。全ての対象がデータモデルの中に収まるかを確認していきます。

続いて、商品に対して上下の概念があるかの階層構造を考えます。特に商品の上にくる概念が決まると、そのあとの整理がしやすくなります。例えば、"健康的なダイニング家具"シリーズの"無垢加工ダイニングテーブル"のような階層構造となる商品構成の整理が必要になります。「健康的なダイニング家具」シリーズを構成する商品を整理することで、シリーズで共通的な属性(コンセプトメッセージなど)を検討していくことができます。また、複数の商品を組み合わせた「健康的なダイニング家具セット」がある場合、その構成品である「椅子」が単独でも「商品」になるか、構成品の個数が必要となるか(ダイニングセットに対する椅子は必ず4個、など)のような観点で検討する必要があります。


お客様の商品の全体像については、導入プロジェクトの初期段階でお客様と一緒に集中的に確認していきます。経験上、お客様自身も把握していなかった商品が存在していたり、『実は今度・・・』みたいな新商品の話題とかが出てきて、このプロセスは根気がいるものではありますが、お客様と一緒に確認していると楽しいプロセスであったりします。


話は脱線しますが、昔、「単位」を新しく作るというのが話題になったことがあります。贅沢さの単位を「1ステーキ」みたいな、万人にわかりやすい尺度を定義するものでした。このプロセスは「1商品」という単位が何を指すのかというのを決めていくので、何となく似ているなぁと思ってしまいました。


次に「商品」の周囲を確認しましょう

次のステップとして、1つの「商品」にまつわる周辺の情報を整理していきます。具体的には以下のようなものです。


nearby-information.png


これらの周辺情報は「商品」ではないですが、「商品関連情報」としてPIMの中で管理するケースが多いです。前述の「商品」の単位が決まっていると、更に以下のような観点で検討ができます。

  • 1商品は1つの商品カテゴリーに紐づくか?
  • 写真やカタログは1つの商品と紐づくか?
  • シリーズ単位か?カテゴリーに関係なく紐づくか?
  • 説明書やソフトウェアは価格を持つか?その場合「商品」となるか?
  • 図面やファームウェアと商品との関連は時間軸で変化するか?

ここまで検討が進んですっきり腑に落ちていると、後工程がとても楽になります。逆に、ここまでが曖昧で漠然としたまま導入プロジェクトが進んでしまうと、いざデータを登録する際に色々と不都合が生じるというケースが多くなります。


ここでは、遊び人的な情報(たくさんのカテゴリーの商品と関係を持つ顔の広い「図面」とか)や、ボッチな情報(直接的な関係はないけど、何となく不特定と繋がっている「画像」とか)なども出てきて、情報を擬人化してみたりすると、辛いプロジェクトも楽しく薦めることができるかもしれません!!
大抵は普通に関係性を持つ庶民的な情報が多いので、たまに特殊なものを見つけてこんな想像をしていると仕事に支障をきたすかもしれませんのでほどほどに。

今回は「商品」というPIMで管理するための単位を決めるというプロセスについてご紹介しました。新しい単位ができたら、その単位をさらに発展していって「1セット品 = N構成品」とか「1商品 + 1画像 + N図面 = 1Webページ」とか、計算できるようになりますね。


次回はもう少し細かい話となる商品の「属性」についてご紹介したいと思います。


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