ビジネスに活用するデータ分析、定性データと定量データの違いとは?

2020.12.08  株式会社エクサ

ビジネスに活用するデータ分析、定性データと定量データの違いとは?

いまやBtoCやBtoBと言ったビジネスモデルに関わらず、データ活用は事業の成功の鍵を握る重要なファクター(要素)となっています。

データを活用するためにはデータ分析が必須であり、デジタルマーケティングを推進する上ではこのデータ分析がとても重要になります。ここでよく耳にするのが「定性データ」と「定量データ」です。この2種類のデータについて皆さんは違いを理解しているでしょうか?2つのデータから読み取れる情報は大きく違い、目的に応じて使い分けることが大切です。

そこで、本記事では、定性データと定量データの違いについてご紹介します。

定性データとは?消費者・顧客の心情を探る

アンケート調を例に説明すると、定性データとは「自由記述等で記される、回答者が感じている心情」などを指します。

たとえば、「AとBどちらが好きですか?」という設問の次に、「それが好きな理由は何ですか?」と質問した際に、回答者はその理由を応えます。その答えは「AかBか」といった単純なものではなく、人それぞれに異なる理由があります。「AかBか」といった量的な情報ではなく、「人それぞれに異なる理由、なぜ?」といったような質的なデータのことを定性データと呼びます。

定性データを分析するための主な手法には、自由記述形式のアンケートやインタビュー、行動観察などがあります。「なぜそれが好きなのか?」「なぜそれを使うのか?」「なぜその行動に出たのか?」など、消費者・顧客が感じる「なぜ?」を知ることで、マーケティング最適化などを実施できます。

定性データの難しいところは、明確な数値として現れないため、分析チームの中でもそのデータに対する見解・意見が異なるケースが多くなることです。逆に、分析チーム内で意見が割れてしまうことがあるものの、意見が多いほど改善ポイントを多く洗い出せるとも言えます。また、定性データ分析では少ないサンプル数でも一貫した傾向をつかめるのが特徴でもあります。

定性データは数値化(定量化)しづらいため、いままではデータ分析が行いにくい領域と言えました。そのため、いわゆる「長年の勘」や「経験者の判断」などに委ねられることが多くありました。

現在では、AIやマシンラーニングが容易に利用できる環境も揃っており、「R (統計解析フリーソフト)」などに代表される定性データを分析するためのアルゴリズムも充実してきています。教師データを用意することで、学習させながら答えを導くと言ったアプローチも可能で、より「感性」的な分野でもデータ分析が進みつつあります。

定量データとは?単純明快な数値を分析する

一方、定量データというのは「明確な数値として表せるデータ」のことであり、量的データとも呼びます。たとえばインターネット利用に関する実態調査において、「1日にインターネットを利用する時間はどれくらいですか?」という設問に対し「①30分未満」「②30分以上1時間未満」「③1時間以上2時間未満」「④2時間以上」といった選択形式の回答を用意します。これにより回答は①~④のいずれかで明確に表されるので、これは定量データとなります。

定量データの特徴は、さまざまなデータと組み合わせることで1つの事実を導き出せるという点です。たとえば先ほどのアンケート調査の結果と、回答者の属性情報(性別や年齢、地域など)を掛け合わせることで「10代・20代のインターネット利用時間が特に長い」といった事実を導き出すことができます。そうすることで、消費者・顧客の大分類ごとに「何を選ぶか?」「どういった行動を取っているか?」など人の行動にかかわる情報を多く取得できます。

定量データは単純明快なデータとして扱えるので、分析チーム内で意見が分かれるようなことはなく、共通認識のもと分析を進められるというメリットがあります。ただし、データの正確性を担保するためには少しでも多くのサンプルデータを集める必要があるでしょう。

マーケティングの領域では様々なデータを活用します。なかでもWebサイトやソーシャルなどオンラインのデータは、アトリビューション分析(※)などで顧客の行動からより効果の高い施策を炙り出し、そこにコストを集中的に投下すると言った手法がよく取られます。



「もっとも成約率が高いページへコストバランスの良い広告流入を増やしてROIを効率化する」と言ったことが日々なされています。

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どちらか一方ではなく、適宜組み合わせることが大切!

データ分析へ取り組むにあたり、定性データか定量データかいずれか一方のデータに集中して分析するというケースが少なくありません。確かに、データの分類の応じて分析活動に取り組む方が効率的なように感じますが、実際は定性データと定量データを適宜組み合わせることが大切です。

たとえばインタビュー調査の一環として「カードソーティング法」といった手法を用いることがあります。これは調査テーマに関する様々なキーワードが書かれたカードを、被験者の主観と判断で分類してもらうという調査手法です。この手法ではユーザー理解のために「質と量」、つまりは定性データと定量データを同時に扱います。

また、もっと身近な例ではWebサイト改善でも定性データと定量データ、2つのデータを適宜組み合わせて分析することが大切になります。

Webサイト改善ではアクセス解析ツールを利用して、アクセス数などの定量データを多く収集します。そのため、定量データ分析だけに集中しがちですが、どうすればユーザーに好まれるのか?を知ることができません。そこで、競合他社のWebサイト利用状況も踏まえたアンケート調査を実施したり、今後ユーザーが期待していることをヒアリングするなどの定性データを扱うことも重要になります。

ですので、これからデータ分析に取り組もうという際は、定性データと定量データどちらか一方のデータに偏るのではなく、2つのデータを適宜組み合わせながら分析活動に取り組んでいきましょう。また、2つのデータの収集方法は大きく異なるため、両データを効率良く収集するためのプロセスを確立することで、データ分析効率を大幅にアップさせることができます。

まとめ

いかがでしょうか。「データ分析」と言うと少し腰が引けてしまう方や、「定性データ」と「定量データ」といきなり言われて混乱する方も多いかと思います。

しなしながら、少しゆっくり考えてみると難しいことばかりでなく、1つ理解すると芋づる式に関連性が見えてくるものでもあります。

重要なことは、まず「データを活用してみる」ことであり、そのためにはどう言ったデータが取れているのかを理解することから始める必要があります。

Webサイトの運営に携わっているかたであれば、様々なデータが身近なところに散らばっていますし、それらを活用するための手法も様々なアイディアが実用化されています。

この機会に是非データの種別や分析手法について興味を持っていただき、ビジネスに貢献するWebサイト運営や顧客情報分析に向けてデータ活用をスタートしてみてください。

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