散在するデータを統合して、デジタルマーケティングに活用する

2019.08.28  株式会社エクサ

デジタルマーケティングの成功にデータ統合・データ分析が欠かせない時代と言われています。しかし、データが爆発的に増加し、データの種類も数多く派生したことによって、データ統合に必要な作業は困難さを増す一方です。散財するデータを統合するための課題は多岐にわたりますし、簡単に解決できるものではありません。

このような状況下において、企業はデータ統合とどう向き合っていけばよいのでしょうか?

データ統合に立ちはだかる課題とは?

企業が適切かつスピーディにデータ統合を実施するためには、いくつかの課題が残されています。以下に3つ、課題をご紹介します。これらの課題を理解することで、データ統合を最適化するための第一歩となるでしょう。

①爆発的なデータ量の増加

DELLとEMCジャパンが発表した『Global Data Protection Index(グローバル データ保護インデックス)』の調査結果は、2019年で3回目となります。この調査より、2016年以降のデータ増加率が588%と、日本企業においてデータ量が爆発的に増加していることを示しています。

このように、データ量が爆発的に増加していることにより、データの分析処理にかかる時間が長引かざるを得ません。リアルタイムなデータ分析を必要としている企業にとって、その難しさは依然として変わらないままです。

②データ発生場所の広範囲化

さらに、データの発生場所は年々広範囲化しています。昨今ではSNSマーケティングが活発になり、デジタルサイネージとマーケティングの連携により、広範囲な場所でデータが発生しています。それらのデータを適切に統合するためには、すべてのシステムを包括的に捉えたデータ管理基盤が必要です。

③個別最適化されたシステム環境

企業がシステム環境の個別最適化を進めたことは時代の流れですが、その代償が現在になって表れています。部門ごとに独立したシステムのデータは、すべて形式が異なり、システム間で連携するためのインターフェースも持ち合わせていません。また、データ管理のガバナンス強化が求められているものの、徹底は難しく、データの統合すらままならない状態です。

データ統合とマーケティングの関係性

では、上記のような課題を乗り越えてまでデータ統合を行い、それをマーケティングに活用する理由はどこにあるのでしょうか?

昨今のマーケティングの特性から見るに、「デジタル上における総合的なマーケティング活動」が存在感を増しています。スマートフォン普及率は2013年から2019年の6年間で約3倍に増加しており、日本国民のほとんどが欲しい情報をいつでも好きな時に入手する手段を持っています。

これが従来のマスマーケティングが期待通りの効果を得られなくなっていることを意味すると同時に、各デジタルチャネルにおいて適切な情報をターゲットに届けることで、従来よりも効率的なマーケティング活動が展開できることを意味しています。そして、デジタルマーケティングではそれが可能です。

しかしながら、Webにアクセスしているユーザー個々の属性情報や趣向・関心などを理解した上で、適切な情報を届けるためにはやはり大量のデータが欠かせません。企業が蓄積しているあらゆるデータを統合・分析することで、自社商品やサービスに対するインサイト(洞察)を取得し、ユーザーを理解することがとても大切です。

こうした「デジタルマーケティングの最適化」を図るためには、やはりリアルタイムなデータの統合と分析が必要になります。

また、昨今では企業が独自に蓄積したデータとは別の、第三者機関が持つ大量のデータ、いわゆる「3rd(サード)パーティデータ」を活用するニーズが高まっています。Web上のあらゆるユーザー行動データをまとめたそれらのデータは非常に膨大でありつつ、デジタルマーケティングに重要な情報を含んでいます。

たとえば、CRM(Customer Relationship Management:カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)で蓄積した顧客情報を分析し、優良顧客の共通データや行動パターンを導き出し、それとマッチしたユーザーだけにデジタルマーケティングを展開する等の施策も可能です。現代ビジネスに欠かせないデジタルマーケティングの可能性を広げるためにも、データの統合が欠かせないということです。

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データ活用で忘れてはいけないこと

昨今ではAI(Artificial Intelligence:アーティフィシャル・インテリジェンス)の発展が目覚ましく、あらゆる分野で活躍しています。もちろん、デジタルマーケティングにおけるデータ統合・分析でも採用されており、データ関連作業の自動化が進んでいます。

データ統合や分析がAIによってさらに実行されるようになれば、データサイエンティストやマーケターが行う定型作業は圧倒的に減少し、よりクリエイティブな仕事に集中できるようになります。しかしここで忘れてはいけないのが、AIはあくまでAIであり、人が行うような行動を完全に模倣するには至っていないということです。

たとえばAIによってデータ統合を行うことは可能ですが、統合するデータが「適切か否か」の判断まではできません。これは、データ分析においてどのデータが必要か?を理解している分析者自身にしか分からないことです。そのため、データ統合における定義はまだ人の手によって行わなければいけませんし、AIによる完全自動化はまだ未来の話なので、過度の期待は禁物です。

また、AI搭載のBI(Business Intelligence)ツール等によって分析された情報も、それをどう活用するかは人の手の中にあります。AI開発ベンダーの中には、まるでAIがデジタルマーケティングにおけるすべての作業を自動化してくれるような文句をうたっているケースもありますが、そうしたセールストークに惑わされてはいけません。AIは従来が人が行ってきた、簡単な思考を必要とする定型作業を自動化するに過ぎず、人とAIとの分業体制を構築することが大切です。

今後はクラウド完結型のデータ連携がホットになる?

現在、データ統合に取り組んでいる企業の多くはオンプレミスとクラウドが混在したシステム環境において、柔軟性の高いデータ連携基盤を構築して(または、これから構築しようとして)います。これはあらゆるデータへの柔軟なアクセスという点で妥当な手段ではありますが、すべてのデータを統合するとなれば、手間や処理は膨大なものになり、作業円滑化のために統合対象の絞り込みが欠かせません。その判断もAIではなく、結局は人が行わなくてはいけません。

この課題を解決するために、昨今ではクラウドで完結するデータ連携に着目している企業が増えています。クラウドを活用した統合的なクラウド環境の構築は、システム面・セキュリティ面・ユーザービリティ面において及第点をクリアしていると言ってもよいですし、クラウドの恩恵を全面に受けられるメリットもあります。

クラウド完結型のデータ連携環境が整えば、企業が蓄積するすべてのデータをローコストで統合することも可能になります。皆さんも、適切なデータ連携を実施してデジタルマーケティングの最適化を目指すために、常にデータ連携のトレンドを知りつつ、自社にとって最適な方法を模索していきましょう!

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